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東京地方裁判所 昭和46年(ワ)11390号 判決 1975年1月24日

原告 北原富貴子

被告 青木照男 外一名

主文

一  原告と被告青木照男との間において、別紙土地目録一記載の土地部分一・九七平方米が原告の所有に属することを確認する。

二  原告と被告青木照男との間において、別紙物件目録一記載のブロツク塀について原告が共有持分権を有することを確認する。

三  原告の被告青木照男に対するその余の請求および被告モリシタ産業株式会社に対する請求をいずれも棄却する。

四  訴訟費用は、原告と被告青木照男との間においては、原告に生じた費用の三分の二を被告青木照男の負担とし、その余は各自の負担とし、原告と被告モリシタ産業株式会社との間においては、全部原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  原告

1  原告と被告青木照男との間において、別紙土地目録一記載の土地部分一・九七平方米が原告の所有に属することを確認する。

2  原告と被告青木照男との間において、別紙目録一記載のブロツク塀および同目録二記載の目隠について原告が所有権を有することを確認する。

3  被告モリシタ産業株式会社は原告に対し、三〇万円およびこれに対する昭和四七年二月一日以降完済に至るまで年五分の割合による金員の支払をせよ。

4  訴訟費用は被告等の負担とする。

旨の判決ならびに金員請求につき仮執行の宣言。

二  被告等

原告の請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

旨の判決。

第二主張

一  原告(請求原因)

(一)  別紙土地目録一記載の宅地九一・三〇平方米(以下「本件土地」という。)はもと被告モリシタ産業株式会社(以下「被告会社」という。)の所有であつたが、原告は昭和三九年九月二八日、訴外北原高尾の名義で、被告会社から本件土地を、同会社所有の地上の建物(東京都新宿区下落合四丁目七四二番地一所在家屋番号同町七四二番一の一木造セメント瓦葺二階建居宅兼共同住宅床面積一階四四・六二平方米二階四五・四五平方米。以下「本件建物」という。)および別紙物件目録一記載のブロツク塀(以下「本件ブロツク塀」という。)とともに、代金三八〇万円で買受けて、所有権を取得し、昭和三九年一〇月八日、北原高尾名義で本件土地建物につき所有権移転登記を了したが、その後昭和四四年二月一二日、北原高尾から原告に対する所有権移転登記を経由した。

(二)  本件土地は別紙図面(イ)(ロ)(ホ)(ヘ)(ト)(ハ)(ニ)(イ)各点に該当する地点を順次直線で結んだ線によつて囲まれた範囲であり、本件ブロツク塀は本件土地のうち別紙土地目録一記載の土地部分一・九七平方米(以下「本件土地部分」という。)上に存する。

(三)  被告青木照男は、原告より後れて、被告会社から同会社所有の別紙土地目録二記載の土地(以下「被告青木土地」という。)を買受けて、所有権を取得し、昭和三九年一一月一三日所有権移転登記を了した。

(四)  その後、被告青木は本件ブロツク塀の上に別紙物件目録二記載の目隠(以下「本件目隠」という。)を設置したが、本件目隠は原告所有の本件ブロツク塀と一体を成し、附合により原告の所有となつた。

(五)  ところが、被告青木は本件土地部分が原告所有の本件土地の範囲に属することならびに本件ブロツク塀および本件目隠が原告の所有に属することを争つている。

(六)  原告は、被告青木が本件目隠を設置したことから、被告会社に対し善処方を求めたところ、被告会社は、本件土地部分が本件土地の範囲に属することおよび本件ブロツク塀が原告の所有であることを認め、昭和四四年一〇月中、原告に対し、被告青木土地側にもう一つブロツク塀を設置することを確約した。ところが、被告会社はその後、言を左右にして右約束を実行しないため、本件目隠がそのままになつており、これがため本件建物一階部分の三室(いずれも四畳半)は採光、通風、衛生上由々しい状態に立ち至つている。被告会社の前記約束違反によつて原告の蒙つた精神的苦痛は甚大なものであり、金銭で評価すれば三〇万円を下らない。

(七)  よつて原告は、被告青木との間で、本件土地部分が本件土地の範囲に属することならびに本件ブロツク塀および本件目隠が原告の所有に属することの確認を求め、また、被告会社に対し、慰藉料三〇万円およびこれに対する履行期の後である昭和四七年二月一日以降完済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を請求する。

二  被告青木(請求原因に対する認否)

(一)  請求原因第一項の事実中、原告が被告会社から本件ブロツク塀をも買受けたとの点は否認する。売買代金額は不知。その余の事実は認める。

(二)  同第二項の事実は否認する。

(三)  同第三項の事実は、売買の時期の点を除いて、認める。被告青木が被告青木土地を買受けたのは昭和三九年九月二八日である。

(四)  同第四項の事実中、被告青木が本件ブロツク塀の上に本件目隠を設置したことは認めるが、その余の事実は否認する。

(五)  同第五項の事実は争う。

(六)  同第七項は争う。

(七)  (被告青木の主張)

本件ブロツク塀の立つている土地部分は被告青木土地の範囲に属し、また、本件ブロツク塀は被告青木が被告会社から被告青木土地とともに買受けて所有権を取得したものである。原告はその買受けた土地の契約上の面積が実際よりも不足しているので本件ブロツク塀の立つている土地部分が自己の所有地の範囲に属すると主張して、本訴を提起したものであるが、これは原告がその買受土地とその西側に隣接する訴外堀内満所有土地との境界を見誤つて測量した結果によるものであつて、その前提を欠いている。なお、被告青木土地も、これを実測してみると四八坪八合二勺であつて、契約上の面積より一坪一合三勺不足しているのである。

三  被告会社(請求原因に対する認否)

(一)  請求原因第一項の事実中、本件土地建物および本件ブロツク塀がもと被告会社の所有であつたこと、原告主張の各日に本件土地建物につき北原高尾名義の所有権移転登記がなされ、次いで北原高尾から原告に対する所有権移転登記がなされたことは認めるが、その余の事実は否認する。被告会社は本件土地建物(本件ブロツク塀は除く。)を北原高尾に対し売渡したのであつて、原告に売渡したのではない。

(二)  同第二ないし第七項の事実はすべて争う。

(三)  (被告会社の主張)

原告は本件土地とその西側に隣接する堀内満所有土地との公道に接する境界点(別紙図面(ト)点)を標石の所在箇所としている。しかし、真実の境界点は右標石より堀内側に八糎寄つた大谷石塀の内面である。そして、その地点から東方へ公道沿いに六・二一米いつた地点が本件土地と被告青木土地との境界点であり、このような測定方法をとれば、本件ブロツク塀の存するのは被告青木土地の範囲内である。

第三証拠<省略>

理由

一  (本件土地等の売買)

原本の存在成立に争いのない丙第一号証の一、成立に争いのない丙第一号証の二、三と証人北原高尾、同綾部章八の各証言によれば、次の事実を認めることができる。

原告は昭和三九年九月当時訴外某と離婚協議中であつたが、離婚後の生計のためアパート経営を行うことを考え、被告会社からその所有の本件土地建物を購入することとし、昭和三九年九月二八日、兄である訴外北原高尾名義をもつて被告会社との間で、本件土地建物を代金三八〇万円で買受ける旨の売買契約を締結し、昭和三九年一〇月八日北原高尾名義で本件土地建物につき所有権移転登記を了した。このように原告が買主および登記簿上の所有者名義を北原高尾としたのは、将来原告が再婚した場合本件土地建物を原告の名義にしておくと、万一婚姻解消の問題が起きたときに紛議を生ずることもありうると考えたためであるが、結局昭和四四年二月一二日北原高尾から原告に対する所有権移転登記を経由し、本件土地建物は名実ともに原告の所有となつた。

本件ブロツク塀は右売買契約以前に被告会社が本件土地と被告青木土地とを区画するため築造したものであるが、右売買契約に際し、被告会社は原告に対し、本件ブロツク塀をも売買の目的物に加えて契約した。

このように認められ、証人綾部章八の供述中右認定に反する部分は信用できず、他に右認定を左右するに足る証拠はない(本件土地建物および本件ブロツク塀がもと被告会社の所有であつたことならびに本件土地建物の登記関係は原告と被告両名との間において争いがなく、また、原告が昭和三九年九月二八日被告会社から本件土地建物を買受けたことは原告と被告青木との間において争いがない。)。

右認定事実によれば、原告は昭和三九年九月二八日本件土地建物の所有権を取得したものであり、本件ブロツク塀の所有権も被告会社と原告との間で右同日移転の効果を生じたものとすべきである。

二  (被告青木土地の売買)

成立に争いのない甲第八号証、乙第三号証、被告本人尋問の結果により成立を認めうる乙第一号証と証人立花久、同綾部章八の各証言、被告本人尋問の結果によれば、次の事実を認めることができる。

被告は訴外明治不動産株式会社の従業員訴外立花久を代理人として昭和三九年九月二八日、被告会社との間で、本件土地の東側に隣接する同会社所有の被告青木土地を将来右土地上に被告会社の手で築造される居宅(木造一部コンクリートブロツク造亜鉛メツキ鋼板葺二階建居宅床面積延一一九・六〇平方米)とともに代金八〇〇万円で買受ける旨の売買契約を締結し、右土地については昭和三九年一一月一三日所有権移転登記を了した。地上建物は右売買契約当時四割程度築造されていたが、その後同年一一月上旬に完成し、被告はその頃建物の引渡を受け、同月二〇日頃入居した。

そして、前記売買契約の目的物として、契約書上、土地建物のほか「付属」として「瓦斯、水道、電気、造作、門塀、庭樹、庭石等含む。」と表示され、被告青木と被告会社間においては本件ブロツク塀も売買の目的物として諒解された。

このように認められ、右認定を左右するに足る証拠はない(被告青木土地がもと被告会社の所有であつたこと、日時の点を除き被告青木が右土地を被告会社から買受けて所有権を取得し、昭和三九年一一月一三日所有権移転登記を了したことは原告と被告青木との間において争いがない。)。

右認定事実によると、被告青木は昭和三九年九月二八日本件土地の、同年一一月上旬頃右土地上の建物の各所有権を取得し、本件ブロツク塀の所有権も被告会社と被告青木との間で昭和三九年九月二八日移転の効果を生じたものとすべきである。

三  (本件土地の範囲)

(一)  前記甲第八号証、乙第三号証、丙第一号証の二によれば、本件土地および被告青木土地は、旧七四二番六宅地五七坪一合二勺が七四三番一土地を合筆して七七坪五合七勺となつた後、二筆に分筆されてできた土地であることが認められる。そして、証人綾部章八の証言により成立を認めうる丙第三号証(地積測量図)は、当該図面の体裁および右証言に徴すると、本件土地につき前記分筆手続がとられた際に登記所に提出された図面の控であると認められる。そうであるとすれば、特段の事情が認められない限り、本件土地の形状、面積は右地積測量図によつて決すべく、右図面と対照すると、原告が本件土地を別紙図面(イ)(ロ)(ホ)(ヘ)(ト)(ハ)(ニ)(イ)各点に該当する地点(以下単に符号のみを記す。)を順次直線で結んだ線で囲まれた形状、面積の土地であると主張するのは--現地との対応関係の点を暫く措き--正当として肯認しなければならない。

(二)  問題は現地との対応関係、就中(ト)点が現地のどこに該当するかである。そして、係争現場の写真であることに争いのない丙第二号証の五ないし一一、一七と証人北原高尾、同綾部章八の各証言、原告本人尋問の結果によれば、次の事実を認めることができる。

本件土地はその西側において訴外堀内満の所有土地と隣接している。原告が本件土地を買受けた当時、同土地の境界線には生垣が存在していたが、その後、原告と堀内は双方の合意に基づき右生垣をコンクリートブロツク塀に置替えた。両者間においては、現在に至るまで、境界の紛議は全くなく、境界線が北側公道線に接する地点は、そこにある標石であるとされてきた。堀内は、右標石の近く別紙図面表示の箇所に、大谷石の塀を築造したが、右大谷石塀の本件土地寄りの側面と右標石の中心点とは約八糎の距離を存している。

このように認められる。

証人綾部章八は、「(1) 本件土地と堀内所有土地の境界線は、右大谷石塀の本件土地寄りの側面の線であり、この線が右大谷石塀の南方に続くコンクリートブロツク塀の中心線をもなす。(2) 前記標石は、電柱工事が行われたときに、本来あるべき位置(即ち、大谷石塀の本件土地寄りの側面の線上)から現位置に移動してしまつた。」旨供述する。しかし、右(1) の供述は前記丙第二号証の六、九、一〇、一一に照らすと、事実に合わないものと認められ、また、右(2) の供述は他に確証がない限りそのまま信用することはできず、結局証人綾部章八の右摘記の供述部分は採用できない。他に前記認定を左右するに足る証拠はない。

前記認定事実によれば、(ト)点は前記標石の中心点に該当するものと認めるのが相当であり、これにより(ト)点以外の各点と現地との対応関係も自ら定まることとなる。

(三)  以上によれば、本件土地の範囲は原告主張のとおりであり、本件土地部分は本件土地の範囲に属するものとすべきである。右判断と相容れない被告等の主張は、先に排斥した証人綾部章八の供述部分に立脚するか、または、これと内容を等しくするものであつて、採用することができない。また、被告青木は、同人所有土地もこれを実測してみると四八坪八合二勺であつて、契約上の面積より一坪一合三勺不足している旨主張し、被告本人尋問の結果により成立を認めうる乙第二号証によれば、本件ブロツク塀の立つている土地部分を被告青木土地の範囲内に属するものとして測量しても、全体の面積が四八坪八合二勺にしかならないことが認められる。しかし、仮に右測量が正確なものであるとしても、右面積の不足は本件土地を分筆した親地番の土地の問題であつて、被告会社と被告青木間の売買契約において処理されるべきであり、これをもつて本件土地の範囲に関する前示判断を左右することは適当でない。

四  (本件ブロツク塀の所在場所)

原告は本件ブロツク塀はその全部が本件土地部分上に存在する旨主張するが、これを認めるに足る証拠はない。

かえつて、原告本人尋問の結果と弁論の全趣旨とにより成立を認めうる甲第七号証によれば、本件ブロツク塀は本件土地と被告青木土地の境界線上に、両土地に跨つて存在していることが窺われる(敷衍すれば以下のとおりである。甲第七号証は、直接には、本件土地が公簿上の面積を保有するためには、本件ブロツク塀の本件土地寄りの側面の線より東方八糎のところに被告青木土地との境界線が引かれなければならないことを示すものである。ところで、甲第七号証表示の測量値は前掲丙第三号証のそれと厳密には符合しないが、所詮測量上の微差にすぎないと認められるから、甲第七号証は丙第三号証とほとんど内容を同じくするとみてよいであろう。従つて、甲第七号証は、本件土地の形状および範囲をほぼ正確に表示しているものとみるべきである。そうすると、甲第七号証によれば、本件ブロツク塀は、約八糎巾の部分が本件土地上に、その余の巾の部分が被告青木土地上にあるというかたちで両土地に跨在していることとなる。)。

五  (本件ブロツク塀の所有権の帰属)

被告会社が原告および被告青木に対しそれぞれ土地を売渡すに当つて、本件ブロツク塀を両名に二重に譲渡したことは前記認定のとおりである。

このように同一所有者に属する相隣接する二筆の土地を甲乙両名に対しそれぞれ譲渡するに際し、両土地の境界線上に設けられ、両土地に跨つて存在する囲障の全体を甲乙両名に二重に譲渡した場合において、甲乙両名が囲障につきどのような権利関係を有するかを検討する。当該囲障は両土地に跨つて存在するのであるから、甲乙の各取得土地(以下「甲土地」あるいは「乙土地」という。)の定着物と認められるのは、甲土地については、囲障のうち甲土地上に存する部分、乙土地については、囲障のうち乙土地上に存する部分でなければならない。従つて、甲が前所有者から囲障全部の所有権の移転を受けたとしても、土地所有権移転登記(土地の定着物に対する権利変動の対抗要件は土地の登記以外にはない。)によつて乙に権利取得を対抗できるのは甲土地上の囲障部分に限定され、同様に乙も乙土地上の囲障部分の権利取得しか甲に対抗できない理である。しかし、ここで論理を完結し、甲乙各土地上の各囲障部分を、全く別個独立の甲乙の所有権の対象として理解するときは、囲障の存在意義を失わせる事態を招くおそれなしとしない。例えば、甲が権利行使の名のもとに、甲土地上の囲障部分を除去することにより、残された囲障を倒壊寸前の状態に陥れること等も考えられないことではないのである(権利乱用の法理ないし信義則が常に有効な抑止的作用を発揮できるとは限らない。)。むしろ、このような場合は、民法二二九条の法意に鑑み、甲乙は囲障全部についてそれぞれ所有権を取得するが、目的物の性質上当然に共有関係に立つと解し、甲乙を共有に関する法規の規整に服させることが相隣不動産の調和的利用の理想に適合する所以であろう。本件においても、原告および被告青木は本件ブロツク塀について共有持分権の限度で権利を取得したものと解するのが相当である。

六  (本件目隠の設置)

被告青木が本件ブロツク塀上に本件目隠を設置したことは原告と被告青木との間において争いがない。しかし、本件目隠が本件ブロツク塀と物理的に一体となり、社会観念上本件ブロツク塀の一部となつたかどうかは証拠上明らかでない。従つて、附合による所有権取得をいう原告の主張は失当とすべきである。

七  (確認の利益)

被告青木が本件土地部分が原告所有の本件土地の範囲に属することを争い、また本件ブロツク塀を被告青木の(単独)所有と主張していることは弁論の全趣旨により明らかである。

八  (被告会社に対する慰藉料請求について)

原告は、被告会社が本件ブロツク塀の被告青木土地側にもう一つブロツク塀を設置する約束に違反したことによつて、精神的苦痛を蒙つた旨主張する。

しかし、証人綾部章八の証言によれば、原告と被告青木との間で本件ブロツク塀の帰属について争いが生じ、原告が被告会社に善処方を求めにいつたとき、被告会社側では本件土地を実測してみて本件ブロツク塀が本件土地の範囲に存することが判明したときは被告青木土地側に新ブロツク塀を設置する意向がある旨表明したにすぎないこと、ただ肝心の実測は施行しなかつたことが認められる。被告会社がことの実態を明らかにするため実測を施行しなかつた不誠意は強く責められるべきではあるが、右認定の事実関係のもとでは、原告と被告会社間において確定的に新ブロツク塀設置の約束が取交わされたものとは認め難い。従つて、原告の慰藉料請求は爾余の点について審究するまでもなく理由がない。

九  (結論)

以上説明したところによれば、原告の本訴請求は、被告青木との間で本件土地部分が原告所有の本件土地の範囲に属することおよび原告が本件ブロツク塀につき共有持分権を有することの確認を求める限度において正当として認容し、被告青木に対するその余の請求および被告会社に対する請求はいずれも失当として棄却すべく、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条第九二条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 蕪山厳)

(別紙)土地目録

一 東京都新宿区下落合四丁目七四二番七

宅地九一・三〇平方米(二七坪六合二勺)

のうち別紙図面(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(イ)各点に該当する地点を順次直線で結んだ線によつて囲まれた土地部分一・九七平方米

二 東京都新宿区下落合四丁目七四二番六

宅地 一六五・一二平方米(四九坪九合五勺)

(別紙)物件目録

一 ブロツク塀

高さ一・七七米

長さ一七・七五米

巾一二・五糎

二 目隠(木柱プラスチツク張)

高さ六七糎

長さ一二・六五米

別紙 図面<省略>

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